10月11日、今日は完成に向けて最終的な作業を行いました。
蓋の裏にはこのように金網を張りました。巣をつけて蓋を開けるたびに壊すことがないようにと考えました。
金網の下にこのような向きでスノコを入れます。このスノコに、日本ミツバチの蜜ろうを塗りつけて分蜂群を誘導します。
ここから巣を下に下に作っていくのです。
巣が下に長くなると、蜜の重さと暑さで千切れて落ちてしまいます。巣落ちは逃亡の原因になりますので、支えを入れます。写真では孟宗竹で竹ひごを作って、はめ込んでいます。
重箱を支える台を制作しました。両サイドに重箱が乗り、真ん中に板を差し込みます。
このように使います。
蜜蜂が巣をかじったクズが落ち、これに巣虫がつきますので、時々抜き出して掃除をします。
実際に管理してみると持ち上げるのに苦労しますので、取っ手を付けました。待ち箱としては2段で十分ですが、巣が成長すれば、下に下に重箱を追加します。5段くらいにもなれば、貯まった蜜を上から頂き、下に追加します。
これで完成です。重箱は底がありませんから台が必要ですが、台にそのまま乗せれば掃除のたびに重い重箱を持ち上げ移動させなければなりませんから、日常の管理で随分と重宝します。
左右が研修生のもの、真中が所長のもので見事に完成しました。これならネットでも買ってくれる人がありそうです。このような待ち箱を5つ位は作って、色々な場所に置いて分蜂群を待つのです。
使用した重箱には巣の跡が残っていますが、このままだと巣虫が住み着きます。
トーチランプで焼いて巣クズを溶かし、巣ムシの住家を与えないようにします。消毒も兼ねて来春に備えます。
ざっとこんな感じです。入るまでは馴染みのある使用済み重箱を使って誘導し、入ってからは新しく製作した重箱を使用するのが良いでしょう。
2018年10月10日、巣箱製作の最終過程に入りました。トーチランプで外面を焦がしていますが、これは表面を炭化させることで重箱を長持ちさせることができますし、クレオソートなど防腐剤を塗るよりも自然に近い形ですから、日本ミツバチの導入成績が優れていると言われています。
重箱の外面をトーチランプで焦がしました。研修生からは好評でしたが、製作過程の気になるミスも、美しい木目の出た焦げ目に隠れて、芸術性が一気に高まったようなイメージで喜んだのでしょうかネ。
上の蓋を制作しています。蓋の下のスノコとの間に1㎝の間隔を取るために、台の高さを2㎝とするため慎重に制作しています。
蓋裏に金網を張りますが、金網とスノコの間の僅かな空間を行き来して、巣の一番上部を守ります。
蓋の裏の台を取り付けているところです。初めての釘打ちでしたが、最初は優しく、一定程度入ってからは力を込めて真っ直ぐに打ち込むことが出来ました。
蓋の裏に巣を作らせないために、金網を張ります。金切り鋏で切りますが、上手く切るコツは鋏の元の部分で切断することです。
とうとう99%完成しました。登山でも頂上が見えてから案外長いものですが、ここから色々な手直しがありますので、もう少しの辛抱です。美しい木目の焼杉の巣箱はプロ級の出来栄えで、研修生も大喜びです。
「販売用の巣箱も作ったら」等と会話も弾んできました。
9月20日
生憎の雨模様なので巣箱づくりのうち重箱の制作に取りかかりました。
先ず材料の板を電動カンナで削ります。どちらから削り始めるのか迷うところですが、材料の側面を見て順目と逆目があるので順目を判断します。カンナは材料の端より少し離して下から上方に向かって削りますが、いきなり深く削らないで0・5~0・7㎜位から削り始めます。左手で持っているのが調整のメーターです。
材料は乾燥すると反ってきますので、木目の内側を重箱の外面に使います。また削ることによって材料が長持ちすると言われています。箱の内側を削るとミツバチが滑ると思われるので、内側は削らずにそのままにしておきます。長さは20.5㎝とし幅は設計書では15㎝となっていましたが、材料の関係で12㎝としました。
曲尺の使い方も少しづつ慣れてきました。
電動ドリルを使うのにもこのような道具があれば便利です。
重箱の真ん中に竹串を渡して、暑い夏に巣がダレて崩落するのを防止します。
重箱の上に載せるすのこまで完成しました。すのこはミツバチが蓋に直接巣をかける事を防ぐために設置します。すのこの間隔は僅か7㎜位ですが、ここを蜂は通路にして出入りします。
9月10日
ネットで日本ミツバチの巣門製作動画を見て、簡単な図面を作り、これを参考に取り掛かりました。
今日はあいにくの雨でしたから、屋根の下での作業です。ミツバチが出入りする一番下の台ですが、熊蜂の侵入を防ぐため、高さ7ミリ、幅12㎝くらいで作りました。一番大切な部分ですから2人とも慎重に作業しました。
立派な巣門が3個できました。卒業の時に記念品でお渡しする作品ですから、思い入れが強くて小さなところにも随分と時間をかけて制作しました。この上に重箱を2段、3段重ねて日本ミツバチの分蜂を待つのです。手前の写真では枠の右が少し浮いていますが、完成品ではありません。
ここにちょうつがいを付けて、開閉が出来る様にします。時々中の様子をデジカメで写したり、花の無いときに砂糖液を給餌するのです。
日本ミツバチ
9月12日
巣箱から蜂の出入りが少ないので、下からデジカメを入れて箱の内部を撮影しました。なんと一杯いた蜂がいなくなっています。採蜜の時期が遅くなって、分蜂したのだろうと思います。外から箱を叩いてみると、ゴーと唸っていますから、少しは残っているようですが、秋に向かい不要の巣をスムシから守られないだろうと見込みました。重箱を2段くらい外して、蜂量に見合った巣に再編させた方がよいだろうと考えました。
9月15日
重箱の上蓋を外して内検してみると、12日にはいたのになんと・・蜂がいないではないか。巣虫の動きも見える事から、この蜂群はあきらめて採蜜することとしました。写真には下部の巣が写っていますが、上部はほとんど全部に蓋がされており、完熟蜜となっています。今回はやむを得ず全部の採蜜をします。放っておくと巣全部が巣虫に食われて採蜜どころではなくなりますから。
採蜜には色々な方法がありますが、私は春に作成した梅割り器を利用して絞ることとしました。ちなみに蜂の子もいそうですが、女王蜂が早くにいなくなったようで全く見当たりません。蜜蜂は巣の上部から蜜を蓄え、その次に花粉を蓄え、その下に蜂児を育てます。そこで一番上部の重箱から採蜜しますが、上部は蓋をした完熟蜜なので蜂の子をつぶすような心配はありません。それにしてもこれだけの財産を持ちながら、あっさりと放捨してしまうなんて、日本ミツバチの気持ちはわかりません。女王が事故で死んだのでしょうかね?
梅割り器も相当力を入れなければ蜜を絞ることはできません。どうしても残ってしまいます。
普通は蓋の表面を切って逆さにしておくと、蜜が垂れてきれいに分離します。この度は蜂の巣全部ですから梅割り器の登場となったのです。
写真の蜜は透明ですが、日本ミツバチのハチミツは茶色になっているものが多いです。蜜そのものに色がついている場合と、育児した巣の色が蜜に移るからだと思われます。薄い蜜は発酵して蓋を取ったりしたときにポンという音がしたり、酸っぱくなったりします。そこで薄い場合は水分を飛ばさなければなりません。
蜜を絞るとこのような蜜板ができます。これも放置しておくと相当量の垂れ蜜が採集できます。それが終わったら外に出して蜂に吸わせようと考えています。蜂がきれいにした後に蝋を絞ります。この蜜ろうは日本蜜蜂の捕獲になくてはならないものです。日本ミツバチの待ち箱の中に塗っておくと、偵察蜂が様子を見に来て、同僚が巣を作っていたのだと安心して入るのだと思います。
日本ミツバチはこのように巣を破壊して採蜜しますが、西洋ミツバチは巣枠の中に巣を作らせ、巣枠を引き抜き遠心分離器にかけて採蜜します。従ってこのような破壊が起こりません。何度でもその巣を使い回すことができますし、女王蜂や育児の様子など内部の検査も簡単です。そこで日本ミツバチにもそれ用の巣枠をしつらえ、管理がし易いようにしている養蜂家もあります。
どちらが良いのかはわかりませんが、はっきりしていることは、日本ミツバチは気まぐれ屋さんで、西洋ミツバチのようにはいかない「似て非なるもの」であるということです。
採蜜した日本ミツバチのハチミツは熟成した深い味わいがあります。色々な蜜が交じり合って幾分かしら発酵するのでしょうか。長い間の熟成期間を経て、独特の風味や味わいを持っています。
西洋ミツバチは体も大きく、一度に運ぶ蜜の量も多く、レンゲならレンゲの花に集中して訪花します。花の最中には中3~4日もすれば次の採蜜をしますから、その花の特徴を持った混ざらない蜜が採れます。根本が違うのです。
このような落葉樹の下などに待ち箱を置いて、蓋の裏には日本ミツバチの蝋を塗っておきます。春にはキンリョウヘンという蘭の花を置いておびき寄せます。フェロモンが出るようです。
7月下旬にとうとう入ってくれました。春に入らなかったので今年は諦めていましたが、いつまでも暑くカラスザンショの花蜜がたくさん出ましたから分蜂したものです。少し砂糖水をやったり、代用花粉を与えてやれば、冬までには何とか越冬できる群に成長するだろうと、夢を持ちながら新たな群に期待を寄せるところです。
一方で巣を放棄して逃亡してしまう群があり、このように新たな営みを始める群ありで、自然界は調和を取りながら循環しているようです。このリズムを心と体に取り入れたいものです。