実りの秋、食欲の秋

 実りの秋を迎えました。モチ米の収穫をしましたが、品種は月見モチです。千葉県より送って頂いた切りモチが余りにも美味しかったために、ご無理を言って種もみを送って頂きました。

 コシヒカリより10日ほど遅く、キヌムスメより20日くらい早いのですが、作りやすく粘り気抜群の美味しいモチ米です。

 山間棚田の小さな田んぼでは、コンバインがコーナーで随分難儀します。稲を刈らずに踏み倒してしまうことがあります。その為、カーブしても踏み倒さないように、角々の相当の面積を手で刈り取りをしておきます。手間暇が掛かって面倒なことですが、山間地農業の宿命です。

 1年に2~3度しか使用しないコンバインですから、農繁期終了後の手入れもおろそかになりがちです。

遂に故障して近所からお借りする羽目になりました。

田んぼの隅は刈り取りできないため、このように人力でコンバイン作業をしなければなりません。

 研修生にとっては、大型機械は乗ってみたい憧れのようです。手取り、足取り指導して、乗ってみてもらいました。上手く刈れて自信につながったように思います。

ところで秋の空は移ろいやすく、この後、通り雨に見舞われました。春は「水ができた」などと言って苦にしませんが、秋の雨は大敵です。移ろいやすいものの代表格で「女ごころと秋の空」とはよく言ったものですネ。

 作業中は刈り取り高さ、幅、稲穂先端のこぎ深さ、エンジン音の異常など、全神経を集中させなければ上手く刈り取れません。付きっ切りで技術を伝授しますが、大きな音で動いている大型機械ですから、思うように意図するところが伝わりません。研修生も「緊張して長くは乗れません」と、率直な印象を口にしていました。

 特に難しいのがあぜ際と、コーナーの刈り取りです。下手をすると稲を刈らずに、踏みつけて進んでしまうのです。速度を落として慎重に刈るように指導しますが、刈り取り刃を下さずに稲の上の方を刈ったりして思うようになりません。こんな難しいほ場で上手に刈れたら、何所に行っても通用します。

最後には随分と上手に操作できて、自信につながったようです。

 少し前までは約30キロ位入るコンバイン袋に詰めていましたが、今はフレコンで運搬します。

昔は稲ハデを組み、20日くらい天日干しをしてから脱穀していました。山間地は山が迫って日照が短いため、稲ハデも8段、10段もの高いもので、投げ上げるのに夜の9時、10時まで明かりを点けたり、月明りで作業をしていましたから、田の下から上のトラックにモミを送ることなど夢のようです。

 とうとう千秋楽になりました。乾燥調製をしてみなければわかりませんが、月見もちで10a当たり7・5俵、コシヒカリで8.5俵、キヌムスメで9俵位は収穫できたようです。山間地の稲作としては上出来と内心ホクホクです。

なお、20年来のコンバインも遂に寿命か、刈り終えたところで動かなくなってしまいました。来年は来年の風が吹くワと開き直って、陽が高いうちから今宵のビールを想い、頭が一杯となっています。

 30㎏の紙袋で乾燥調製しましたが、実に重いのです。やはり10㎏くらいの、持ち運びがし易いものに変える工夫が必要です。

今迄は農協に出荷してしまえば、何もかも終わったとそこまで考えてきませんでした。6次産業化などと言われる昨今ですから、売る努力や工夫が必要です。今年は手間が掛かりますが、10㎏入りパック詰めで提供しようと考えています。

 このあたりの雑木山はタケが生える最中です。つらい農作業の合間に山に入って、雑タケ探しをしました。山を歩き回りましたが、思ったほど収穫が無く、言葉少なく帰り支度をして足元を見ると、なんとザーザーがびっしり生えているではありませんか。

買い物袋に一杯収穫して、今夜の酒のつまみが出来たと喜びました。

 幼菌もたくさん生えていて、当分賑わいを見せてくれそうです。研修生も感嘆の声を上げ、夢中で採取しました。所長は食えますよとは簡単に言いません。「ネットで調べてからでないと食ってはいけません。自己責任でやって下さい。」等と真顔で言っておきます。食えるタケとは知っていても、正式な名称がわかりません。ナラタケのようでもありますし、クリタケのようでもあります。

 

 早速イノシシ汁に入れて美味しくいただきました。近頃食した中で最も美味しかったですネ。

有害鳥獣駆除でおすそ分けを頂いた肉をふんだんに入れ、豆腐やゴボウ、ニンジンなどと一緒にタケを入れて頂きます。皆さんに自信を持ってお勧めできる雑タケ入りイノシシ汁です。

 

 これはカリカリ梅。春に漬け込んだ梅が、冷蔵庫の中で熟成して美味しくなりました。調味料など一切使わず、シソと砂糖だけで漬け込んでいますから、甘~くて酸っぱいカリカリした素朴な味わいで、食後に一粒、もう一粒、つい手が出て全部食べてしまいました。

 春の代表的な加工品の竹の子の水煮の真空パック詰めです。

長期保存で色が変わるのではないか、味が落ちるのではないかなど、まだまだ研究しなければなりませんが、正月用品で売り出せば好評だろうと思います。特産化の計画中です。

 腎臓に効能があると言われる「キササゲ」です。いくらの郷地域は荒廃地対策として苗木が無償で配布され、キササゲの植栽が推奨されてきました。一定程度まとまれば缶ジュースにして、機能性飲料で売り出したらどうでしょうか。疲れた時などオシッコが濁りますが、キササゲを煎じて飲むと、スカッと透明感が出ますから効果てきめんの様に思います。


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