つるし柿づくり

 いくらの郷地域では、西条柿がたわわに実りました。合わせ柿と言って、ドライアイスで渋抜きをして生食したり、つるし柿で干し上げて正月の神様の飾り物や冬の保存用に重宝します。

小さいときの子供のおやつで、木の上で熟したものや、干した皮を食べていました。つるし柿はお客様へのお茶口として、家族が冬のこたつの団欒に食べるなど、昔から暮らしの中に溶け込んでいました。

 良く見て頂くと写真中央に狸がいます。柿を採りに行くと、まるまると太った艶の良い狸が、人懐こくこちらを向いて様子を伺っていました。柿が熟して落ちたものを食い放題して、糖尿病にでもなって眼に来ているのかもしれません。あまり恐れる様子もなく、緩慢な動作で藪の中に消えていきました。

 収穫しなければ木の上ではカラスの餌になるだけですから、少し収穫して皮はぎをしました。初めにヘタの部分を皮とともに丸く削ります。それからピーラーで柿の頭に向けて削っていきます。

 

つるし柿を作るときに一番頭を悩ますのが、カビが生えると言う事です。その為、アルコールを吹いたり、熱湯を通したりしますが、なかなか思うようなつるし柿になりません。

いくらの郷工房には果物の乾燥器が導入されており、12時間くらい入れておくと、初期の乾燥は上出来で、渋みが少し残る程度にまでなります。

 一度に約200個の柿を、初期乾燥させることができます。12時間、24時間など試してみましたが、長いほど良いことは言うまでもありません。12時間でも少し渋みが残る程度まで乾燥しました。

 このままでも食べられないことはないのですが、渋みが少し残り甘みが薄いので、これをつるして干し上げます。

 たくさん干していますが、時間がたてば写真の様に少し黒みがかって甘みが強くなります。冷たい風の吹かない山間部でのつるし柿生産に、光明が差してきました。


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