イノシシを捕獲

 朝一の電話で檻にイノシシが入ったと連絡がありました。一緒に狩猟免許を取得したS君とY君に電話しますが、連絡が付きません。必死になって逃れようとする姿を見せ、命とか生きるという意味をもう一度、考えて貰いたかったのですが無理のようです。

やむを得ず猟師さんに鉄砲で始末をお願いしましたが、せめて孫には見せておきたいと檻のある山の中に出かけました。

昨日までは雪がなかったのに、一夜にしてこのような雪景色に変わるとは、イノシシの獲れた朝にふさわしく劇的です。


 檻の近くまで来ると自動車を止めて歩いて行きます。どの方角から来たのか、何頭ぐらい一緒だったか。雪の中の足跡ですぐにわかります。大きなものと小さな足跡がありますから、子連れだったと思います。

 この荒らしようはどうしたことか。新雪を蹴散らして餌を探しています。

土中のミミズか、栗の実でも探したのでしょうか。ここまで荒らすのはどんなイノシシか、鉄砲での始末を頼んだものの、檻に駆けつけ家伝のイノシシ槍を横腹に喰らわせたくなりました。

 孫たちも一生懸命に登りの雪道を走って檻に向かいます。

 いました!1頭入っているではありませんか!子供は逃げたようです。

じっとこちらを見つめています。40キロ~50キロ位のメスのようです。長い間、米ぬかを撒いておびき寄せたものですから、入った姿を見ると格別な感慨があります。以前に一度に7頭も入った事がありました。

 孫に向かって遠慮なしに突進しますので、孫たちも恐れを成して離れた場所から見つめています。

 イノシシは絶えずカメラの方を向いて警戒しています。横から撮るのが精いっぱいで後ろには回らせません。カメラの方に真っ直ぐに向きを整えて、遠慮なしに突進してきます。鼻が檻の金にぶつかり、痛いだろうと思いますがお構いなしです。怒っているのでしょう。メッシュの金をぎりぎりと噛んでいます。

鼻の頭が剥げているのはぶつかったからかもしれませんが、体表の毛がはげ掛かっています。病気なのかもしれませんネ。檻の中は踏み荒かされヌタ場のような状態で、イノシシのにおいがプンプンしています。


 道元禅師が「本来の面目」として「春は花、夏ホトトギス、秋は月、冬雪さえて涼しかりけり」と詠んでいます。観る者と観られるものが一体となった透き通った世界、対立から一体となった統合の世界を言うのでしょう。

イノシシは最後まで生き抜くことに必死になり、人は有害鳥獣を駆除し恵みとして肉を頂きますが、その営みを普通の事の様に子や孫に伝承します。

イノシシにとっては受難の朝でしたが、大山は懐で繰り広げられる様々な営みを、何事もなかったかのように泰然と、雪化粧の優雅な姿で本来の面目を発揮、それぞれの今日の所作を見つめています。


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