ウッドデッキ基礎工事

 4月から新人のK君が入所しました。姿勢が悪いので尋ねてみると、腰が悪いとのことなので、作業の前に体操をして、身体をほぐしてから取り掛かります。

 ご家族は通ってくれることが目標と言われますから、1年でも2年でも時間をかけて回復するように、スタッフが焦らないように対応しなければなりません。当面、週2回、午前中の活動で、先ずは慣れていただく事としました。

 K君に活動を紹介する中で、一番興味があることは「ツリーハウス」と言ってくれましたので、早速に現場に行って作業に取り掛かりました。

 ツリーハウスの下に災害復旧工事の資材置き場があります。渡りに船とはこの事で、砕石を分けて頂く事としました。

 トラックからトタンの上を流して、各穴に砕石を入れます。我ながら良い分別が出たものと思います。それにしても大勢でやればあっという間に出来ました。新人のK君も手伝いましたが、共同作業で気持ちよさそうです。

 丁度良い処に現れたAさん。「良いとこに来たと背たか使われる」ではないのですが、早速に手伝って頂きました。本職が暇なのか、忙しいので気を抜くためなのか、あるいはいくらの郷のギャラリーが気になるのか、良くわかりませんが、とにかく人手が欲しいと思った時に、神出鬼没でフラッと現れてくれるのです。

 慣れた手つき、安定した腰つきのAさんです。新人のスタッフTさんとの呼吸も合って、リズム感が出ています。

 女性スタッフの掛け声と笑顔、笑い声で皆が元気が出ます。あっという間に作業が進みました。いくらの郷の女性スタッフは、他人を持ち上げることがお上手ですから、おだてられて浮き上がってしまいます。慎重な所長もイチコロですが、Aさんも手の平でお手玉をされるようなものでしょう。ましてや研修生には、効果はてき面です。もしかするとスタッフのお人柄が奏功して、早期の社会復帰に繋がっているのかもしれませんね。皆さんが一度、お越しになって、出会ってみて頂くとよ~く分かります。


 困ったことに根の上に基礎がくるような事となりました。根の上から砕石を締め固めはできず、そうかといってコンクリートで巻いてしまってもならず・・。結局、周りを締め固め、根の上に薄く砕石を乗せて、生コン打設することとしました。

 全部の穴に砕石が行き渡りました。少し薄い処もあるので、更に追加して入れますが、Aさんの助っ人と、分別の良かったトタンのお蔭で、思ったより早く完了しました。

 砕石が入ったら次は締め固めです。新人のK君も頑張りました。K君は少し腰が弱くて、十分な締め固めにはなりませんでしたが、それでも相当な回数、振り下ろしましたから締まってきました。

 所長と理事長が仕上げをしました。締め固めの道具は、樫の木に柄をつけて作った簡単なものですが、しっかりと重さがあってとてもよく締まりました。どんどんと沈んで行きますから、砕石を追加し、少なくとも厚みが20㎝以上となりました。

 力仕事でお腹が減った昼食は、理事長が自慢の腕を振るいました。野菜たっぷりに、たくさんの具入りチャーハンで、おつゆは竹の子のすまし汁です。大盛り過ぎて食いきれません。

 張り糸の交差する真下にスリーブを置き、その中に差筋をしました。玄能で叩き込みますが、程よい抵抗があって基礎の信頼性を保証してくれるようです。

 スリーブの中に差筋を打ち込んで、同時に生コン打設して、下の基礎との一体化を図ります。このスリーブ柱の上に束が乗りますので、塚止めに羽子板を挿しておく予定です。

 理事長が型枠が外れないように、打設する杭をたくさん作っています。

 Tさんと型枠を設置していますが、どこまで盛ればよいのか、水平をどうして出すのか。作業の工程で考えておかなければならない課題が随分とたくさんあります。

 丁度良い処に工事現場の監督さんがおられましたので、基礎について意見を聴かせていただきました。軟らかい地盤なら15㎝位は生コンを打設した方が良いと言う事です。スリーブは差し筋がしてあるので、後から打っても良いし、紙でできているので、切れ目を入れて簡単に外せるそうです。さすが専門家です。説得力がありました。

 型枠を固定するために、木杭を玄能で打ち込んでいますが、掛矢での打設とは比較にならないくらい恐ろしいです。万一、外れたら骨折しますからね。Tさんは杭の先を見ていませんが、所長は見てしまうので恐ろしさが違います。

 砕石を締め固め、鉄筋を配置して、センターを出しスリーブを入れ、差し筋を打ち込みました。後は型枠を設置して、杭で動かないように固めれば、一応完成です。生コン打設の折に、スリーブの中に羽子板を入れて、束を固定する予定です。

 歳は重ねても、冒険心が遺伝子に組み込まれているのでしょう。高いところに登って達成感を味わいました。基礎も出来て一段落しましたので、改めて木に登ってみて、ツリーハウスの設置位置を確かめました。理事長の頭の位置から更に1・5メートルくらい高い位置ですから相当の迫力です。その位置まで、はしごで一気に登るのは厳しいと思われますから、下のウッドデッキから途中に小さな足場のような座を作り、2段構えで登ることとなるだろうと、概ねの見当を立てました。

 理事長よりもさらに高い処に所長も登ってみると、理事長の登った位置では邪魔になっていた木が、気にならなくなりました。先生が話しておられたように、邪魔になるからと言って直ぐには伐らずに、最後の最後に最小限の伐採にとどめる事が大切と思いました。木立の中にチラチラと、デッキやツリーハウスが見えた方が、勿体があって良いと言う事です。今月末に生コンを打設するところまで、ようやくこぎ着けました。


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