7月25日、先生をお迎えして、竹でツリーハウスの大まかな形を作る処からスタートしました。真竹で上下2段のツリーハウスの形を作ります。枝の形状などから三角形の形になりますが、上の段は枝から吊り下げる文字通りの吊りハウスとすることとしました。下段は上のハウスに登るための踊り場風のデッキとします。
早速登りますが、先生は下から高さ、位置などを指示していただく事から、所長が登ることになりました。もちろん命綱をつけての作業ですが、思わぬ高さですから下を見れば恐ろしい光景です。
上の枝から紐で竹を吊り下げます。枝の先の方から吊り下げなければならないことから、危ない仕事でした。所長は古希を迎えていますが、怖いなどと言ってはおれません。ここまでくれば執念です。
ウッドデッキがあるので下から見ればそうは見えないかもしれませんが、そもそもこの樫の木が斜面の頂点に立っている事から、上からの迫力は凄いものです。
樫の木は堅木ですから、この位の枝になれば体重70㎏の所長が乗ったくらいで折れる心配はありませんが、命綱を掛け替える時などに万一手や足が滑ったりしたらひとたまりもありません。慎重に慎重に作業しました。
先生が下の木に登り、上の竹の位置を色々と変えて見られます。言われるようにテキパキと対応すればよいのですが、何といっても高い木の上の事ですから思うように行きません。下から竹の先に紐を結びつけて渡していただくのですが、それを解くのにも片手ですから思うようにはいきません。
この度の作業で一番危険な作業でした。枝の先の方に紐を結ぶのに、命綱が短くて先に行かれないのです。何とか踏ん張って... ...出来ました。こんな時に「百尺竿頭一歩を進む」を思い出しました。修行を重ねて遂に悟りの境地100尺の竿頭に登り詰めても、安住せず執着せずさらに一歩を進めて、悩み苦しむ衆生の世界に身を投げ出せと言う教えだと思いますが、こんな時には言わないのですよね。木の上での自問自答でした。
写真では少し見えにくいのですが、竹の三角形が出来上がりました。写真左に大山が眺望できますが、枝の形状などから、ツリーハウス最上階は2等辺三角形の頂点が大山に向かった形になります。
下段の踊り場風デッキは低い分だけ簡単にできました。
小枝の曲がった部分に下のデッキより「はしご」を架けて登ります。写真左側の大山の方に向かって、2等辺三角形の底辺が広がり、木の後ろのハシゴ側が頂点になります。
このように竹を組んでハウスの形状の見当をつけます。この過程でどうしても邪魔になる枝は伐るか、避けて活かすか等の判断をします。下で見ていた女性スタッフのTさんも、遂に見かねてはしごに登ってお手伝いをしました。
共同作業の面白いところです。
上の竹の形は分かりづらいですが、下の竹の形の逆になっています。一段目はデッキから3メートル位の高さになり、そこから2メートル位で上のハウスの桁が来る予定です。
大山さんが笑って作業の安全を見守ってくれました。
棚田のケタはきれいに草刈がしてありますが、今月の末に虫送りの松明灯しをします。200本余の支柱を立てますが、どんな景色が広がるのでしょうか。薄明かりに棚田が美しく浮かび上がり、幻想的な虫送りの行事になると今から楽しみです。大山さんにも日頃の恩返しさせていただきます。
ツリーハウスの桁になるヒノキ材を、片面落しで用います。チェンソー製材したものに電気カンナをかけていますが、面が平滑になっていると雨水をはじき、材料が長持ちしますし大工仕事が楽です。
研修生N君はもちろん初めての電気カンナ掛けです。
道具の使用法の伝授も大切ですが、もっと大切なことは仕事の意味を丁寧に伝え、目標に向かって一緒に何かを成し遂げることと思います。この材が竹で作った形の一部を形成する、多くの人を支える桁になると思えば、丁寧に心をこめて削るようになります。ツリーハウスの完成予想図を描いてみる様にと、ふくらまし粉をまぶしておきました。
一緒に作業を進める中で、着実に改善していくN君の姿にスタッフの喜びがあります。