ヒマワリの咲くころ

 ツリーハウスを作るのに、完成イメージを共有して材料を加工しなければなりません。所長の書いたイメージ図を基に、スタッフや研修生は勿論ですが、スーパーボランテイアのAさんとも、入念に打ち合わせを行っておきます。

 ツリーハウスの2階部分を、材料と同じ長さの竹で作ってみました。ウッドデッキと同じ方向では面白くないと言うスタッフの意見を受け入れ、樹を中心に方向を変えてみます。研修生もどこの部位の材料を加工しているのか、良くわかります。柱や基礎の位置、材料の長短など見当がついて、思った以上の効果がありました。

 最近のいくらの郷のメイン作業は材料の皮はぎです。日差しが強くて汗びっしょりになりますが、研修生は黙々と精を出しています。

 皮はぎの道具を頂きましたが、すっかりさび付いて使い物になりません。スタッフのTさんに研いでもらいました。

 

 材料の節に当たると刃が欠ける恐れがありますので、荒い砥石で刃を付ける程度が良いようです。

 早速に使用してみると、とても良く剥げます。荒い皮は鉈で剥げますが、その下の薄い皮を剥ぐのが難しいのです。この道具を使えば実に簡単で作業がはかどりました。


 皮剥ぎを終え、元大工のEさんより、大工道具を借りてきました。大工小屋には様々な道具が所狭しと詰め込んであって、欲しいものばかりです。近年はプレカット工場などの利用で、大工仕事が少なくなっているそうです。金槌とノミを使ってホゾ穴を掘るような、昔ながらの大工仕事は見られない風景になったようです。

 チェンソー製材をしています。製材も大工仕事も、素人が趣味で行うレベルまで下がって来たようです。法隆寺専属の宮大工、西岡常一さんが伝えている、世界に誇る我が国の木工技術は、どのような形で伝承されるのでしょうか?

 チェンソー製材は表面が凸凹していますので、電動カンナを掛けています。材が丸太だと後々の作業が難しくなりますから、一面だけでも角目を付けます。


 刃を研ぐコツを教えて!というリクエストにお応えして、我流ですが鎌を研いでみました。

 買ってから一度も研いだことのない草刈り用の鎌です。いきなり刃先を研がずに、刃の上の黒くなった「腰」の部分をまず研ぐ事がコツです。小さな刃こぼれがある場合は、黒い荒砥石で無くなるまで削ります。

 荒砥石が終わったら、柔らかい白い砥石で刃をつけます。刃を上から見て白いところが無くなるまで根気よく研ぎます。刃の先を指で左右に軽く撫でてみて、刃の付き具合を確認します。

 早速、Tさんが取り掛かりましたが、鎌の柄が台に当たって刃を付ける角度が思うようになりません。また柄がどこかに引っかかり、思わぬ怪我をする恐れもあります。

 別に依頼したわけでも無いのですが、スーパーボランテイアのAさんがどこからともなく現れて、砥石台を作ってくれました。

 あっという間に完成です。これなら鎌の柄が何所かに当たることを心配せずに、自由に角度を調整して研ぐことができます。

 Tさんが早速研いでみました。笑顔を見ることが、Aさんの喜びにつながっているのでしょうね。

 いくらの郷入口に「緑水湖オートキャンプ場」があります。今年は利用者が大幅に伸びたそうで、薪の需要がたくさんありました。所長の斧です。柄の元部分がすり減って年季が入っています。割れずに残っていた材も、5回くらい打ち込んだらとうとう割れました。

 中に曲がったものや丸いものを組み合わせて積み上げ、荷崩れを防ぐために一番端は井桁積みをします。横に長い積み荷の場合は、中にも井桁を組みます。井桁材料は丸いものを避け、割り木材の真っ直ぐなものを使用します。

 仕事の合間にふと眺めると、時期が少し遅いのですが、いくらの郷の前田にはヒマワリの大輪が咲き誇り、目を和ませ心を弾ませてくれます。花言葉は「憧れ」「あなただけを見つめる」とありました。

 20年来の荒廃地がきれいに整備され、ヒマワリが咲き誇っています。変われば変わるものです。環境変化が劇的ですから、いくらの郷活動が地域の皆さんから評価を受ける所以です。

 山も農地もどんどん廃れつつありますが、入蔵集落では造林の間伐事業で作業道が整備され、山の展望が開けました。農地については「いくらの郷」を受け入れて、農産品の特産化や消費地との直接取引で、大きな経済効果をもたらしました。若者支援を柱とした、中山間地のモデル集落を目指しています。


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