作業道の修復

 9月の台風24号の影響で、通行不能となっていたいくらの郷裏の作業道の、修復工事に取り掛かりました。工事と言っても道路の陥没箇所に石や真砂土を埋め戻して、交通の便を確保するといった程度ですが、中々骨の折れる仕事です。何と言っても重い土を運搬しますので、寒い日でもあっという間に汗が吹き出します。運搬車がなければ思いつく気力さえ湧いてこないだろうと思います。

今日は9年間の引きこもり生活から、いくらの郷に研修を申し込んだA君が仲間に加わり、4人で作業しました。

 このような大きな穴が随所に空いています。

真砂土だけで埋め戻しても、すぐに元通りの穴が空くのは目に見えていますので、大きな石を埋め込み荷を作ります。

 石徳五訓では

「沈着にして気精永く土中に埋もれて、大地の骨となるものは石なり」と言います。

休憩時間には五訓を説いて納得と共感を得ながら、きつい労働に意味を見出していただきます。

残りの四訓も記しておきます。

「奇形・怪状・無言にして、よく言うものは石なり」

「雨に打たれ風にさらされ寒熱に耐えて、悠然動ぜざるは石なり」

「堅質にして大廈高楼の、基礎たるの任務を果たすものは石なり」

「黙々として山岳庭園などに趣を添え、人心を和らぐるは石なり」

確かに言い得て妙なる石徳五訓でした。

 瓦も使います。割れた瓦は角が鋭利ですから、タイヤが傷みます。本当は使いたくないのですが、穴の数が多くて埋め戻しは石だけでは足りません。

この上に真砂土をかけて養生しておくと、踏み固められて自然に角が取れて収まります。

 夜な夜な出没したイノシシが、掘り散らかした真砂土の法面を、修復を兼ねて道路補修に利用します。

ユンボを所有していますので利用すれば良いようなものですが、汗をかいて体を鍛える事が眼目ですから、敢えて鍬やスコップの人力で、運搬車に載せて運びます。

黙々と作業をして、持久力と忍耐を身に着けようとする処に、いくらの郷での研修の核心があります。

 このように立派に修復されました。まだまだ未完成ですが、運搬車やトラックで踏み固めて、元のような作業道にする予定です。

生産現場では盛りだくさんの作業があり、仕事はきついのですが、時間をかけてじっくりと取り組む事が必要であろうと思われる研修生には、取って置きの環境と思います。

 

 このような作業を通じて、1年半もの引きこもり青年が元気になってきた根拠は何か、エビデンスは確立されないのか、先人の知恵に私たちの経験を照らし合わせて、統合医療的に思索研究し、しかるべき機会に世に問う必要があると考えます。

 

 5月に「いくらの郷」に通い始めたころは、ペットボトルの三分の一位しか飲めませんでしたが、9月の初旬には2本を飲み干せるようになりました。代謝が良くなった証拠だと思います。10月も終わるこの頃は、そんなに飲めるものでもありません。半分くらいは残しています。

これから寒くなるのに、汗をかける作業を探さなければなりませんから、所長も大変です。

 これは何のタケでしょうか。作業道まわりの随所に生えており、キクラゲの一種の様に思います。噛んでみても苦みや渋みはありませんので、きっと食べられるとは思いますが、念のためその道は素人で、何でも慎重なNさんにお任せしました。

良ければ明日は元気な姿を見られるし、見られなければ残念だったネと言う事と大笑いしました。


ご意見をお寄せください

メモ: * は入力必須項目です