I君の卒業

 卒業記念の日本ミツバチの待ち箱作りをしました。自動カンナの効果は抜群で、あっという間に仕上がりました。

I君は何をさせても手際が良く、工具を使っても上手ですから、仕事は早くきれいに仕上がります。

 気付かれたお方があると思いますが、この待ち箱はミツバチが出入りする巣門を縦に切り込みました。従来のものは横に作っていましたので、思い切った変更です。日本ミツバチは門が広いと嫌いますから、7~8ミリの間隔としました。

 卒業記念に作った巣箱を贈呈しました。いつも自然に心を寄せて、自然の営みの大きなサイクルを、自分の生き方に取り込んでくれたらと願いを込めました。

 早速に巣箱の設置に向かいました。

I君の畑の隅に、適当な場所が見つかりましたので、ビール箱を台にして設置しました。

 朝から夕方まで陽の当たる場所は避けます。午前中の陽は大切ですが、午後は日陰になる場所を選びました。

 上のスノコ板の裏には、日本ミツバチの蝋が塗ってあります。箱の内側にも塗ればよかったのですが・・・・。

蓋の内側には、巣をさせないように金網が張ってあります。巣門を縦に取り付けましたので、効果があるだろうと思っています。

 この巣箱の横に金陵辺(キンリョウヘン)という蘭の花を置いておくと、フェロモンが出て、日本ミツバチが誘引されるのです。

 注意深く観察することです。黒っぽい日本ミツバチがいるのかどうか、偵察蜂が来ているのかどうか、花粉を運びこんでいれば、先ず間違いなく分蜂群を捕獲したことになるでしょう。6月頃までは分蜂の時期ですから、こまめに観察する事が大切です。


 I君はお菓子づくりの先生ですから、卒業にあたり、お世話になった皆さんに、手作りのお菓子を食べてもらうこととしました。シュークリームもお手の物です。たくさん焼いて、色々なところにお配りしました。

  パンもたくさん焼いて、お世話になった入蔵集落の皆さん等に配りました。思いがけないプレゼントと、味の良さで、一気に株を上げました。挨拶の中で、また顔を見せてね等と声をかけて頂き、厚い人情に触れて感激していました。

 4月1日には、職場体験を行う祥和会の皆さんへ、自家産プリンをたくさん持参しました。初出勤の日に手製のお土産を持って来た人はI君が初めてで、皆さんが大喜びで歓迎しました。I君の心の中に、職場に温かく迎えて貰いたいと、素直な気持ちが芽生えたことを推察し、間違いなく立派な社会人として活躍できるものと確信しました。


I君の感想

 私は12月中旬から3月一杯、いくらの郷へ通わせていただきました。 最初は親と一緒に見学させて頂きましたが、建物の外観や内装が良く、落ち着ける感じでした。指導員の方々も優しそうで、楽しく通えそうだなと思いました。  今までやったことのなかった作業(梅割り器製作・水車発電・チェーンソー・薪割り・竹垣製作・竹細工・ツリーハウス製材等)も多々ありましたが、分からないところや困ったときは教えて貰えたり、近所の方と一緒に作業ができたりと、楽しく過ごす事ができました。 外国人の団体の方が来られたときは、質問されたりで緊張しましたが、フォローがありましたので何とかなりました。 3月上旬からは天気が崩れることが良くあり、パンやお菓子を焼きました。出来たものを皆で食べたり、配ったりし喜んでもらえて良かったです! 最後になりますが、いくらの郷での経験は人生でとても貴重だったと思います。見学を断っていたり、体験しなければ分からない経験でした。あの時、断らなくて良かったなと思っています。有難うございました。

 


所長より

 昨年、12月13日からI君が通所を始めましたが、3年半の空白を僅か3月ほどの通所で埋めて、新たな人生のスタートを切りました。ご家族も随分とお喜びです。

 これでいくらの郷には研修生がいなくなりました。来てさえ頂ければ、社会復帰して頂くことについての支援に自信も出来ましたが、来て頂かないことには前に進みません。町内に限らず、町外のお方でもお困りのお方があればご連絡ください。


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