宿泊の研修生

 いくらの郷では7月末から宿泊での研修生を受け入れています。A君は仕事の関係で体調を崩し現在休職中ですが、頭脳明晰、真面目で心優しい好青年です。話してみると職場復帰にはあと一押しかと思いますが、気持ちの中で元気が出なくて悩んでいました。心配されるご家族が新聞報道やブログを見られ、メールで様子をお尋ねになったところから話が進み、視察も経て宿泊研修にまで進んだものです。

 家では夜型の生活ですが、いくらの郷では夜の作業はありませんから、宿泊研修は昼型へ転換させる強制力があります。食事は自炊できますが、ゆうらくの厨房から供給を受けています。クックチルで調理したものが真空パックに入り、冷凍庫で保存してありますから、それを解凍して毎食ご馳走を食べることが出来ます。


 いくらの郷の定番メニューの草刈からスタートしました。初めての経験ですから、刈払い機の構造から刈り方など教えることは沢山ありますが、先ずは汗をかいて頂く事が大切ですから、ざっとした講習の後に早速現場に出て実践です。

 刈り払い機を持って指導しますが、中々思うようには行きません。A君にとっては初めての経験ですから、高回転する刃が恐ろしく、エンジン音で興奮し、私の講釈も分かりにくいだろうと思います。数多くこなすうちに上手になって行くでしょう。

 右から左に刈るのですが、左から右に返す時に、刃を水平にして草の根元を少し切りながら返し、今度は刃を少し左に傾けて刈り払う事がコツです。刃の表面を使って、草を左に寄せると言った方が分かりやすいかも知れません。

 ツリーハウス用に伐倒し、葉干ししていたヒノキを集材に行きました。「木六竹八」を心がけて伐倒したことや、ツリーハウスのどの部分に使用するかなどを伝え、一緒に作る喜びを味わって頂きます。製材所に出さず、いくらの郷でチェンソー製材をして、手作りのツリーハウスを目指しています。

 ユンボは力持ちで、何にでも使える便利の良い機械です。真っ直ぐで素性の良い桁材を、3本も載せて運びました。このような時に「ちょうせん結び」を知っていると良く締まって便利ですが、

教え方が悪いのか、皆が中々覚えられません。

 いくらの郷の庭まで運び一息入れています。最近は外にいるだけでも汗が出ますが、大きな材木を運搬しましたから、全員が疲れ切って暫くは声も出ません。

 運んだヒノキのカワハギをします。6月に伐倒した材は水分があって、皮と幹の間にナタの刃先を差し込んで「コデル」と見事に剥離して、簡単に何メートルも一気に剥げます。皮を剥いでおかないと、幹との間に虫が入って食い荒らします。

 3月頃に伐倒したヒノキは、皮を剥いでみると虫が食い荒らし、糞で詰まっていました。素材の表面まで食っていますから、建築材には使えません。写真の茶色は全部が虫の糞です。

 きつい作業ばかりでは嫌になってしまいます。生き物が趣味と言うA君のために、近所の小学生を連れてサワガニ採りに出かけました。

 急な沢ですが、水しぶきを受けて気持ち良く登って行きます。涼気があって気持ちが良いのですが、マイナスイオンが発生しており良いのかもしれません。心も体もリフレッシュします。

 岩をはぐってみるとサワガニが隠れています。イノシシの大好物で、近くには足跡もありました。清流に遊んで皆が気持ちよさそうです。

 指導員のTさんに小学生が教えているのでしょうか?微笑ましい光景です。

 冷たくてきれいな清流の中をサワガニが逃げ出しています。豊かな自然に囲まれた環境に身を置いて、心と体をリフレッシュさせ元気をつけてもらうのです。

 定番の薪割にも挑戦しました。A君は膝を折り腰を落として斧を打ち込んでおり、安心して見ていられます。

百回、千回、万回・・・と斧を振り下ろしても、一回も間違えずに割るための技術を伝授します。体力と気力、根気、根性・・・を養うには持って来いの作業です。

 

 A君はセンスが良くて真ん中に打ち込んでいます。理事長は薪に斧が挟まって、外すのに難儀しています。

 畝立て機で黒大豆の畝立てにも挑戦しました。

 Tさんは加工所で地元のご婦人の指導を受けて「おこわ」づくりです。大国地域振興協議会の夏祭りで、賑やかしに販売します。

 どんな秘けつがあるのか、とにかく美味しいのですわ。あっという間に完売しました。

 用意して頂いたテントの中、暑さとおこわ完売で一挙に疲れが出て、ぐったりのスタッフです。

 可愛い子供のひょっとこ踊りで盛り上がっています。神社の秋祭りの屋台やランプの灯りなど、子供の時に経験した祭りは記憶に鮮明です。浴衣姿の子供も見かけましたが、良い思い出を作ってもらったと思います。大人が頑張らないといけませんね。


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