研修の仕上げなど

 7月下旬から来所していたA君はその後順調に回復し、10月より職場復帰することとなりました。鳥取在住なので宿泊研修になりましたから、ある夜にゆっくりと酒を酌み交わしながら、所長の体験談を話しA君のこれからの人生を激励しました。仕事上のちょっとした失敗から自信喪失となり、職場に出られなくなっていましたが、いくらの郷での研修で自信を取り戻し、仕事への意欲が湧いてきました。研修の仕上げには、自然への関心を持ち続けて頂くようにとの願いを込めて、日本ミツバチの巣箱づくりなどに取り組みました。


 ホゾやホゾ穴を加工した柱や桁に防腐剤を塗りました。油性と水性がありますが、油性にしました。水性に比して臭気が高いのですが、照りとか艶が出るので仕上がり感が良いとありました。

 素人細工でも防腐剤を塗っていくと、きれいな艶が出てきて、仕上がりが楽しみになってきます。

 竹を当てて検寸してみます。合っているのかどうか、確認のために何度も検寸して見ます。 

 第一の候補が上手くはまりました。

 4本の木材をそれぞれに合わせて設置します。


 天気の良い日は外に出てしっかりと汗を流すことで過ごしてきましたが、職場復帰が見えてきましたから、木工加工に取り掛かりました。最初に作ったのは梅割り器です。

 A君は繊細な心と器用な手先で上手に作成しました。木工には片隅にほったらかしてあった端材が、人の手によって機能を持った道具に蘇る醍醐味があります。材質や目的に沿った道具の選択・使い方など奥が深いのですが、根気を養い達成感を味わい、自己肯定感を醸成するのには効果的と思います。

 研修生N君も初めてでしたが、木工細工が好きで、柄の部分を念入りに削っています。お母さんが使いやすいのには、握りが太くはないか等と考えて削るように指導しています。

思いがけないプレゼントに、お母さんから喜びの声が届いた事は言うまでもありません。


 左がA君、右がN君の作品です。


 日本ミツバチの巣箱づくりにも挑戦しました。スライド鋸は便利ですが、大変危険な電動工具なので慎重に使用しています。

 インパクトドライバーで木ねじを打っています。この時クランプを使って(材料の両サイドを固定する器具)動かないように固定して打ち込むと、角が揃ってきれいな仕上がりになります。

 所長がいない時の写真ですが、クランプを使用していません。木ねじが節に当たった折などに、ずれるのです。100回やって100回成功するためにはクランプは欠かせない道具です。

 ガスバーナーで表面を焦がします。杉材は木目が浮き出て美しいのですが、炭化した表面は劣化しにくい機能に着目しています。

 蓋の裏には金網が張ってあります。蓋裏に蜂の巣の元付けをされると、蓋を開けるたびに巣が壊れますので、巣を付けさせないように金網を張っています。その下にスノコを入れて巣をつけさせます。このスノコに蜜ろうを塗って分蜂群の入居を待ちます。

 急遽なので女性にペンキ塗りを頼みました。きれいに塗っています。

 スノコ付の蓋の様子です。

 

 A君は生き物に興味があって、家の近くで黒っぽい蜂を見かけたことがあると自然観察力があります。日本ミツバチの可能性が高いので、キンリョウヘンを買って入居を待ちますと期待を込めて完成の喜びを語ってくれました。

 


 滅多に来ない晴天の日に、前田の稲刈をしました。左回りするので、左を余計に刈っておくとスムースに刈れるのですが・・・。

 

たった3畝ですが、いくらの郷用にモチ米を栽培しておきました。モチは「月見モチ」と言う、千葉県から取り寄せた、この辺りでは珍しい品種で、小粒ですが粘りがあって伸びが良いのが特徴です。


 厨房も忙しいです。9月は敬老会があって、大量の注文が入ったのです。

5時起きで出かけて、部落のお方に指導を受けてたくさんの注文をこなしました。

 一つ一つに思いを込めて手つくりで作りますから、美味しいおこわが出来ました。

 上手そうな沢カニが出てきました。これもから揚げにすれば、美味しく頂けるのですが、今日は見ているだけにしましょう。

 野辺の彼岸花が我々のすることを、ジッと見つめて咲いています。全部が毒を持つことから、墓にも植えられもくら等の忌避剤として効用があるようです。花が咲く時期に葉が着かず、終わってからにょきにょき成長します。花言葉は情熱、独立、諦め、悲しい思い出などたくさんあります。


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