第2ビオトープの造成

 いくらの郷の周辺環境で困った事象がありました。それはいくらの郷の直ぐ北に竹藪が迫り環境を著しく害している場所があるのです。そこは昔、田んぼで耕作されていたのですが、今は非農家に相続され荒れ放題の竹藪になってしまい、手の付けようがない状態になっています。

グーグルのストリートビューで、昔の姿を再現してみました。いくらの郷が出来るよりもズ~と前の写真です。

トタンで囲んだ農地の上側に、何やら竹の生えた大地が見えます。このような状態でほっておけば、いずれ山になってしまうという危機感を持っていました。「好きなようにしてくれ」という所有者の言葉もあり、先ず竹を刈って何とかしようと模索していました。

そんな時にこをビオトープにしたいという「里山生物多様性プロジェクト」の野口浩二さんの申し出でがあり、両者の思いは一致して急遽作業は進みました。

 相続人にお話をしてみると「好きなように使っても良い」とのこと。昔水田だったところだから、竹を刈って水を溜めておけば草は生えず最低の環境は守られるのではないかと考えました。そこでボランティアを動員して、草刈りならぬ「竹刈」を実施しました。

 それは思った以上に大変な作業でした。

先ず刈り払い機が直ぐに切れなくなることです。直径が2㎝もある鉄砲竹がびっしりと生えているのですから無理もありません。刈って行って初めて段差があったことに気づくようなことですから、竹も思う存分に根を張って我が世の春を満喫していた事でしょう。

 何しろ3メートル以上の高さに奢っている竹藪ですから、入れ替わり立ち代わりボランテイアが挑戦してしても、中々思うように進みません。刈り払い機も心棒が曲がってしまいました。

 こんな時にはいくらの郷スタッフの、お茶の差し入れと投げかける優しい言葉が何よりです。不思議と元気が出るものですね。

 

 竹は地下茎で広がっていきます。きれいに刈ってもほっておくと、瞬く間に元の藪になってしまいます。一説によると1メートルくらいは延るそうです。しかも地下茎ですから次々と生きついて芽を出すなど、とても厄介な生き物なのです。写真は竹藪がきれいになり、元気を出す前の写真です。この時に焼いたりして始末をしなければなりません。

 野焼きをしても地下茎ですから何の憂いもなく、どんどん成長していっています。そこでユンボの登場です。大体、30㎝以上の深さで伸びています。地下茎は横に広がり次々と根を張っていきますから、部分的に根が断絶しても続きの根で芽を出すのです。

 

 

 上下2段の田んぼになっていました。上の田んぼの竹の根をあらかた片付けて、下の田んぼに移動したところです。余り無理をして掘り起こすと「ケタ」まで全部、壊さなければならないために適当なところで妥協して、後は薬に頼ることにしました。

 掘っても掘っても出てくる竹の根です。ユンボを震わせて竹の根と土を分けますが、これも結構しんどい仕事です。竹の根だけを山積みにして、乾かしてから火をつけて燃やしました。中々燃えないことから、灯油缶3缶を使い強制的に燃やしました。 

 近くの川より水路を通って水は当たります。Uさんの水路から分岐して当てますが、水の駆け引きや水路掃除など新たな仕事が始まりました。

 水が回った状態です。田んぼに水が回り、4年越しの環境美化をしたいという夢が叶いました。見える土地は全部他人様の土地ですが、いくらの郷ができた事によって手入れの行き届いた美しい農村風景が復元されました。  

早速、サギが飛んできてくれました。何かないかと餌を探しているようですが、何もなくても羽を休めるのにも良い場所になるようです。

 新しくできた餌場をゆっくりと歩き回って様子を見ています。サギはフンで様々なものを運んできますから、まさにビオトープの開拓者かもしれません。 

 美しい田園風景が戻りました。この日、野口浩二代表の「里山生物多様性プロジェクト」が、来年1月29日に大賞が発表される第12回地域再生大賞の鳥取県代表として、第一次選考を通過して推薦されたと日本海新聞で発表がありました。

生物調査や保全活動が体験できるフィールドワーク会場として活用されるようになれば、いくらの郷の活動も認知されて双方にとって良い結果になろう、賑わいも出てこようと期待に胸をときめかせているこの頃です。


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