槌(つち)音高く

 新年となって始めてのブログです。昨年末には3人の新人が通っていましたが、女性のお方は元気はつらつとして巣立って行きました。もう一人の男子は体調を崩し、手術の運びと聞いています。残り一人となりましたが、元気で通ってきています。祠(ほこら)の設計図を眺めています。

 いくらの郷は作業場が無くて、冬の寒空ではどうしても家の中の作業になってしまい、仕事も限られていました。困った挙句、いくらの郷の前田を借りて、作業場を建てる大掛かりな計画を進めていました。 

 ところが写真の様な良い建物を使わせていただく事となりました。

早速にシートを掛けて、防風を兼ねた作業場が完成しました。いくらの郷から100m位の近い距離です。

 雪が降っても吹雪いても、作業場の中は別天地です。大きな火を焚いて暖かく、作業がはかどります。

祠(ほこら)の写真を並べて確認しながら、作業が進みます。

祠を作るなどと、思い切ったことを計画したように思われるかもしれませんが、万一の時には廃業したとは言え、大工の棟梁がボランテイアで駆けつけてくれるので安心です。

墨付けを学んでいます。

 栗の木があったので、土台に使う事としました。自分で墨付けしたホゾに、ドリルで穴を空けています。後ろではスーパーボランテアが作ってくれた、ドラム缶を加工した「薪ストーブ」で焚火をしています。

薪もお隣がお風呂を電気に変えて「使わなくなった」ので、と沢山頂きました。地域の皆さんの助けで成り立っています。

 「時間になったので今日は終わりにしよう。と言っても、これだけはやってしまいます」と随分とやる気が出ました。

夢中にさせることが出来て喜んでいます。写真はノミでほぞ穴を空けています。

 穴の深さを測っていますが、ゴミが入っていて、きれいにするのに手間取ります。この後、木切れを持ってきて寸をして図っていましたが、賢いなあと思ったことでした。

 ざっとこんな調子です。金指(かねざし)を使って、一人前の大工さんのようです。ここにぴったりと柱が入って決まれば第一段階は合格でしょう。

 いくらの郷では他にもお茶や、生け花のボランテイアがあります。いつも来られる部落の人を相手にお茶のサービスです。

 研修生のN君も、生け花の指導を受けました。指導員のMさんも一緒に指導を受けましたが、余り難しく考えずに美しいものを感じながら、命を大切に活かすように活けると良いと思います。

 窓の外は雪が降っていて寒空ですが、お花は季節を知っていてもう蕾を膨らませています。ここに大自然の、計り知れない営みがあります。謙虚で洗われたような、凛とした気持ちになれるのです。

「尽日春を求めて春を見ず、ぼうあい踏み遍(あまね)しりゅうとうの雲、帰り来たりて試みに梅花の梢をとってみれば、春は枝頭にあって既に十分」(さい益)と言う漢詩を思い出しました。

そうです。春は蝋梅(ろうばい)の枝頭に、すでに訪れていました。

 相変わらずホゾ穴を掘っています。神様が3体収まらなければいけませんので、一本の土台に4つのホゾ穴×前後で8カ所+繋ぎのホゾ穴4か所で合計12カ所を掘らなければなりません。

 前と後ろの土台をつなぐ、複雑な形状のホゾ穴です。栗の木に掘りましたが、堅木なので注意しなければ、脆くて欠けてしまいます。

 一方は桧の土台です。杉で造った繋ぎの土台にぴったりと合いました。こんな具合に合ってくれると、本当に嬉しく達成感が得られます。この経験が実体験の手応えで、自信につながります。

 棟梁から金指の使い方を学んでいます。万一、間違っても何とかなるという安心感は、何物にも代えがたいものです。所長も一緒に学んでいますが、幾つになっても学ぶ事により、人間は深化するのだと思っています。

 まだまだ外は雪景色です。でも春はもうすぐそこに来ています。ビオトープも満々と水をたたえて春を待ちます。研修生にも春が訪れますように・・・・。


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